キリムが1500年もの長い間受け継がれてきた理由の一つは、織手達の豊かな創造力です。織手は先祖からの伝統柄と織りを忠実に守りながらも、独自の世界をキリムの中に織り込み、常にキリムに息吹を吹き込んできました。
左KJ-9937には、イランの遊牧民の流れを組みながら、育った土地アゼルバイジャンの伝統がしっかり織り継がれています。伝統に加え織手が今感じる風や目に映る光景を思いのまま表現している織手の力量が、見る私たちを楽しませます。
KJ-31344の黄金色の織物はあり得ないほど細かい織物です。極めることに心を砕いた織手の会心作かもしれません。鍛えられた技術で自分の世界を加えることより、伝統を守ることに力を注いでいる織手です。